購入を検討している物件で、どんなことがあったかは、ほとんどの方が気になるところです。
宅建業法での、「物件に人のシを疑わせる特別な何かが無ければ、宅地建物取引業者は、積極的・自発的に人のシに関することの調査をする義務はない」という解釈。
それでは、もし購入の仲介をお願いする宅建業者が、その物件の「人のシ」に関することを知っていた場合はどうなるのでしょうか?
故意に事実を告げない、事実でないことを告げるのは×
物件の購入を検討していて、その物件で起こった、本当に正しい事実を教えてくれるのか。
心配になりますよね。
第四十七条(業務に関する禁止事項)
一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
引用元:e-GOV法令検索
宅地建物取引業者は、このような「業務に関する禁止事項」を守らなければいけません。
だから、「人のシ」に関わることは、取引する人が判断するのに大きなことだ・・・と考えられる場合は、もちろん告げなければいけないんですね。
人は、誰しもいつかは・・・
毎日の生活の場である不動産。
老衰や病気でご自宅で息をひきとったり、家の中での不慮の事故でナくなることも、当然考えられますよね。
裁判例でも、その物件の「住み心地の良さを欠くものではない」=心理的瑕疵ではない、という解釈もあるようです。
国土交通省が示した「人のシ」に関するガイドラインでも、宅地建物取引業者は、これらのことは告げる必要はない、と整理されました。
ただ、「特〇清掃等」をした場合は、普通、住み心地がいいとは考えられませんので、原則、宅建業者は、購入や賃借の検討者に話しなければいけません。
賃貸住宅の解釈
賃貸借では、「自然シ以外の死・特殊清掃が行われたシ」であったとしても、発生から3年経ったら、業者側が、借りたい人に告げる必要がなくなります。
これはどういうことかと言いますと、時間が経てば、風化するし、賃貸だから入居者の入れ替わりもある・・という解釈で整理されました。
ただ、もちろんおおむね3年というのは、ひとつの基準です。
事件性や、世間への周知度合いや、社会に与えた影響が大きい事案であれば、業者側が3年を超えても告げなければいけないこともあるでしょう。
それでは、例えば、借りようするお部屋の隣や、廊下などの共用部で起こったものはどうでしょうか?
これは、「取引の対象物件」ではなく住み心地に影響は無いだろうという解釈で、原則として告げる必要はないと整理されました。
自分は全く気にしない!?
先ほどから、業者が「告げる必要はない」と、度々出てきますが。
業者が、告げなくていい事案に当てはまって、なんでも告げられなかったら不安ですよね・・・
もちろん、個別の事情に合わせて宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものと考えられる場合は、宅建業者として、告げなければいけません。
例えば、その物件で「〇人事件」があった場合・・・
裁判の判例でも、普通の人は住み心地を欠くものに当たるということで、「心理的瑕疵」としたケースが多いようです。
だからこのような人のシは「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」と考えられるので、業者は告げなければいけませんね。
売買であれば発生時期に関係なく、賃貸借であれば3年経過するまで告げる必要があるのが原則です。
それでは、「自分は人がシんでも全然気にしないけど!」という場合はどうでしょうか。
「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」とは考えられないので、例外的に告げないことも考えられますね。
売買や賃貸、土地や住宅、アパート、マンション・・・
不動産取引といっても色んなケースがありますが、当然のことですが、買主と借主が納得して取引できないといけません。
国交省の「人のシに関するガイドライン」はあくまで、妥当じゃないか?と考えられるライン・基準を、当事者間(売主・買主・業者)で揉めないように示したものです。
売買や賃貸の取引をするのに、間に入ってそれぞれの状況・意向を確認して、安全に安心に取引を成立させるのが宅建業者です。
売る側・貸す側は知っていること、知らないことを、しっかりと告知する・・・
買う側・借りるは、気になることがあれば、人のシに関することだけでなく、仲介業者や、売主や貸主に相談して伝える・・・
そういったことが、未然のトラブル防止につながりますね。
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