賃貸住宅で特にトラブルが起きやすいのが、「原状回復」の費用負担です。
皆さん、引越しの時にどこまで修繕費を請求されるのか不安ですよね・・・
それが原因で、心配で面倒くさくなって「不満はあるけど、とりあえず今のアパートのままで・・引越しやめた!」なんて方も多いと思います。
実は、トラブルにならないために知っておいた方がいい「ガイドライン」があるんです。
賃貸住宅から退居する時には、入居期間中の、壊れたり傷ついた箇所や程度を確認して、貸す方が借りた人に負担分を請求します。
2004年に「現状回復」のガイドラインを国土交通省が示しました。
・経年変化や通常の使用による損耗・傷等の復旧については貸す側の負担
・入居者の故意や過失、通常の使用方法ではない行為によって生じた損耗や傷等の復旧については借りた側の負担
また2011年に改訂され、契約段階における原状回復の合意を強化することと、退居する人に費用を請求する際の透明化を図ることが加えられました。
現状回復は入退居の度に発生します。
特に「原状回復」に関しては、重要事項説明書・契約書に、特約として記載されることが多いです。
契約時、募集時、双方、後で知らなかったとならないようにしっかりと確認しておきましょう。
原状回復の貸す側の負担事例
主な原状回復の項目 | 原状回復の考え方 |
・鍵の交換 | ・紛失や破損が原因 → 入居者 ・それ以外 → オーナー |
・ハウスクリーニング | ・通常の清掃をしている場合、オーナー負担となるが特約で入居者の負担の場合も多い。 |
・日焼けによる床・クロス・畳の変色 | ・経年変化による自然損耗 |
・家具を置いてへこみができた | ・通常使用による損耗 |
・壁に画びょうやピンで、紙を貼った穴の跡 | ・通常使用による損耗 |
・冷蔵庫を置いていたら、壁の後ろが黒くなった | ・通常使用による損耗 |
・エアコンを設置してビスの穴が開いた | ・通常使用による損耗 |
コストを抑えて、魅力的な賃貸住宅を維持するには!?
これは貸す側の方のお話です。
それぞれの経営者の立場で違いますが、いかに簡単にメンテナンスをしながら維持していくかは、賃貸住宅経営の共通のテーマです。
賃貸住宅の3大メンテナンスと言われる費用をいかに中長期で抑えるかが、経営のポイントになります。
・入退去に伴う内装修繕などの原状回復費用
・設備の入れ替え費用
・屋根や外壁など構造体に関する修繕費用
この中でも大きな出費となるのが、外壁・屋根のメンテナンス費用です。
そこそこの入居があると、「まだ大丈夫だろう・・・」これが続いて、何もしないと建物の老朽化が一気に進むことに。
そして、入居者が一気に減った時点では、もう手遅れです・・・。
これは、マイホームでも同じことが言えますね。
住んでいられる状態だと、なかなか外壁と屋根の修繕の必要性を感じないものです・・・。
現在の建築で主流の、一般的な軽量瓦やサイディングなどの塗装外壁の場合、10年~20年に1回メンテナンスの必要が出てきます。
(いかにメンテナンスを抑えるか?・・・
例:光触媒タイル外壁 ← 出典:PanasonicHomes)
(出典: PanasonicHomes)
初期投資を抑えれば、当然、メンテナンス費用が、短いサイクルで必要になります。
賃貸住宅を成功させるには、突発的な収入ではなく、安定した収入を継続しながら経費をセーブする考え方が必要ではないでしょうか。
「経費のセーブ」と「経費を掛けない」とでは、全く意味と効果が違います。
経費を掛けないのであれば、経費を掛けなくて良い建物の仕様になってますか?・・・
メンテナンスの経費をできるだけ抑えながら、なおかついつまでもキレイで魅力的な建物を維持する。
貸す側の方は、簡単なメンテナンスで、長期経営をする。
貸す側と借りる側のトラブルリスクを回避する意味でも、賃貸住宅を経営する上でのひとつの考え方ではないでしょうか。
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