中小企業が事業承継をしやすくするために、事業承継税制の「特例措置」が創られたことは、前回のブログでご紹介しました。
今回は、事業承継に関連する、その他の税制についてご紹介します!
これは、贈与・相続財産の中の「不動産」にも関係が強い分野です。
また、事業承継だけでなく、個人の方の贈与・相続にも関係します。
暦年課税贈与制度
既にご存知の方も多いかもしれませんが・・・
「財産を生前に贈与する場合、毎年110万円までは課税されない」
という制度です。
ものすごく!分かりやすいですね。
計画的に行っていれば、最も基本的で有効な事業承継税制のひとつです。
当たり前ですが、毎年110万円 → 5年で550万円 → 10年で1100万円 ですw
※なんだか廃止案も出てるようですが・・・
注意しなければいけないのは、相続開始前3年以内の贈与は、その価額が相続財産に加算されます。
贈与でなくて、亡くなった被相続人の必要経費だった!・・・という場合はその資金使途、領収書などしっかり保管しておきましょう。
つまり、いつ相続が発生するかは予想がつきませんから、被相続人からの財産の流れは注意して記録、証明できるようにしておかなければいけません。
相続時精算課税制度
「60歳以上の直系尊属である親等から、20歳以上の推定相続人である子や孫への、財産の生前贈与」の時に、暦年課税か、どちらか選択できる制度です。
特別控除額が2500万円で、これを超える部分は一律20%の贈与税が課税されます。
贈与した財産は相続時に相続財産に加算されます。
相続税がかからない場合は効果ありますが、結局、相続財産が多い場合はどうでしょうか・・・
(※相続税の基礎控除・・・3000万円+600万円×法定相続人の数 これ以上の相続財産がある場合は?・・・)
ただし、贈与した時の価格で相続時に加算されますから、相続財産が「株式」などで株価等が上昇傾向にある時には有効だと言われてます。
注意しなければいけないのは、一度この制度を選択すると「暦年課税贈与制度」には戻れないことです。
下の表を参考に「暦年課税贈与制度」と「相続時精算課税制度」の特徴を良く比較検討した上で、専門の税理士などに相談して選択してください。
暦年課税贈与制度 | 相続時精算課税制度 | |
概要 | 生前に財産の贈与を受ける場合、年間110万円の基礎控除額 | 生前に【60歳以上の親等から20歳以上の子または孫】が財産の贈与を受ける場合、2500万円まで課税されない。超えた部分は一律20%の贈与税 |
どんな時に効果がある!? | ・相続まで時間がありそうな場合 ・後継者がまだ決まっていない場合 | ・相続税が掛からなそうな場合(相続財産の基礎控除:3000万円+600万円×法定相続人の数) |
相続税 | 相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額は相続財産に加算 | 相続財産の価額に贈与財産の価額を加算して相続税額を計算(すでに支払った贈与税額を相続税額から控除、清算) |
その他の税制
相続税を計算する際によく利用されるのが「小規模宅地等の特例」です。
これは、事業用や居住用の宅地等を相続した場合に、一定の割合(50%~80%)で減額できる制度です。
相続財産に、亡くなった人(被相続人)が所有していた「自宅」や、例えば経営していた工場の敷地等があるなどで一定の要件を満たしている場合は、この特例を検討する必要があります。
逆に言えば、評価減になるような対策を事前にしておくことが、相続の対策になります。
この「小規模宅地等の特例」は減額割合も大きく、制度内容が変更しやすいものでもあるため、承継に関係ある方は要件に該当するかどうか、定期的に確認するのがお勧めです。
今回は事業承継に関連する税制を見てきました。
事業承継計画を作ったり、なんだ面倒そう・・・
コロナ禍の影響もあり、事業の引き継ぎに関することが、つい後回しになっているのが、中小企業の現状かもしれません。
特例適用の前提となる「特例承継計画」の提出期限も2年を切っています。
事業承継に関連する、その他の税制も抑えつつ、2年を切ったこのタイミングだからこそ・・・
事業承継を考えていた方は、改めて検討してみるのもいいかもしれません。
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