令和4年1月1日から、住宅等を取得して居住した人は、住宅ローンを組んだ場合に適用される「住宅ローン控除」の内容が変わります。
不動産購入時には、ほとんどの方が利用する住宅ローン。
大事な変更点は抑えておきたいですね。
「住宅ローン控除」とは、住宅購入や建築、リフォーム等で住宅ローンを組んだ場合に、年末の住宅ローン残高に対して、一定割合の額が所得税、住民税から控除される制度です。
今までの住宅ローン控除は2021年末が期限でしたが、2021年12月の閣議決定で延長が決まりました。
そこで決定された内容が2022年4月以降に施行される予定です。
どこが変わったの!?変更点
①年末の住宅ローン残高に対して0.7%減税
②控除期間は13年
③ローン残高の上限は2000万~5000万
④合計所得金額が2000万以下
⑤住宅ローンの借入期間は10年以上
etc…(出典:令和4年度税制改正の大綱)
所得税から控除して、控除しきれない分は、前年の課税総所得金額の5%(9.75万円)を限度に、住民税から控除します。
例えば、今は「変動金利」で住宅ローンを借りたとすると、1%以下で組めますよね。
今までは住宅ローン残高の1%まで減税されてたので、仮に0.5%で住宅ローンを組めば、差額の0.5%分が減税期間中「得」してたわけです。
住宅ローンの借入をする約7割の人が変動金利を利用しているそうで、大半の人がこれに当てはまりますね。
このような状況が「会計検査院」から問題視されて、今回の減税額の縮小に至ったわけです。
減税額は少なくなる!?
それでは、制度の変更で、これまでの住宅ローン控除を受けた人と比べると減税額は少なくなるのでしょうか?
変更前 | 変更後 | |
減税率 | 1% | 0.7% |
対象金額上限 | 13年(※2019年9月末までは10年) | 13年 |
対象金額上限 | 4,000万円( 長期優良等 5,000万円) | 3,000万円(長期優良等5,000万円) |
合計所得金額 | 3,000万円以下 | 2,000万円以下 |
住民税限度額 | 課税総所得金額の7%(13.65万円が限度) | 課税総所得金額の5%(9.75万円が限度) |
対象床面積 | 40~50㎡未満も対象(2020~2021年のみ) | 40~50㎡未満も対象 |
どういう住宅(性能)で建てるか、いくら借りるか、年収はいくらかで減税額は変わります。
特に最大控除額は住宅の性能によって分かれており、今後、より事前のシミュレーションが大切になりますね。
特に、次のような場合は、制度変更前より減税額が下がることになるでしょう。
□合計所得金額が2,000万円を超える場合(※2,000万円超で対象外、所得は毎年判定)
(出典:国税庁 合計所得金額3,000万円の判定 ※改正前)
□長期優良住宅等、認定住宅に該当しない「一般住宅」で上限額を超えて借入する場合
□所得税で控除しきれない場合
良く勘違いされる人がいますが、住宅ローン控除は、税金を減らすものです。
そもそも税金を払っていなければ、控除するものがありません。
住宅ローン控除は、はじめに所得税から控除して、足りない分は住民税から控除します。
しかし、その上限額がある「住民税控除額」が引き下げられたことで、年収や住宅ローン残高の金額によっては最大限使いきれない人も増えるでしょう。
今までコロナ対策もあり優遇が続いていた住宅ローン控除が、ケースによっては厳しくなりました。
不動産の購入、住宅ローンの利用を検討している人には、資金計画での大きな税制の出来事。
不動産会社や住宅会社と一緒に、早めにご自身の計画の、おおよその控除額を把握することが大切ですね。
この記事へのコメントはありません。