先日、土地調査に行った時に、あらためて今の不動産の状況を実感しました。
市の中心部から離れた郊外のエリアに行けば行くほど、ほとんど利用されてないような建物や土地が増えてるんです…。
皆さん「未利用地」ってご存知ですか?
未利用地(みりようち)とは名前の通りで、空き地・空き家・空き店舗や工場など、長い間利用されてない土地のことです。
「低利用地」という言葉もありまして、こちらは一時的に利用されてる資材置場とか、青空駐車場なんかを言います。
この未利用地と低利用地を合わせたものを「低未利用地」といいます。
当然ですが、都市化が進んだ街中より、地方に行くほど多いです。
売れない土地を手放したい。
昨今、高齢化が進み、人口減少の問題と共に、空き家問題は深刻です。
利用されない土地や建物が増えるとどうなるか?
街全体の景観を損なうのはもちろん、動物が住みついたり、放火や不審者の侵入など治安も悪くなる可能性があります。
じゃあ、どうしてそのまま放置されてるんでしょうか?
「売ってお金にすればいいじゃん!?」って思いませんか?
実はこういう物件を売却するのは、結構大変なんです。
仮に古い建物が残ってる、郊外の低未利用地を売るとします。
結果的に、売ったとしても手元に残るお金がほとんどなく(むしろマイナス…)売る手間とお金がすごくかかってしまうんですね。
不動産は、ただ売却するにしても、色々な経費が掛かります。
空き家なら取り壊すための解体費用。
お隣との境界が分からなければ境界を決める測量費。
売ったら売ったで譲渡税。etc…
昨今、物価高、コスト高の影響で、経費の金額も上がってきています。
特に郊外(地方)で評価の低い不動産を売った時に、手元にお金が残らない…なんてことになるわけです。
低未利用地の特例措置を利用する。
「ウチもあるなぁ…離れたところに何にもしてない土地が…」
そんな人にご紹介したいのは、低未利用地を売却=譲渡する際の、特別な制度があるんです。
どういうものかというと
低未利用地の土地・建物の売却額が800万円以下など条件を満たせば、譲渡して利益が出た分が控除される(税金が少なくなる)というものです。
<低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置について>
土地の有効活用を通じた投資の促進、地域活性化、更なる所有者不明土地発生の予防に向け、
令和2年度税制改正において、低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置が創設されました。本特例措置は、一定の要件を満たす譲渡価格が500万円以下または800万円以下(※)の低未利用土地等の譲渡をした場合に、長期譲渡所得から100万円を控除するものです。
(※)令和5年度税制改正により、令和5年1月1日~令和7年12月31日までの間に、市街化区域や用途地域設定区域内等における低未利用土地等について譲渡された場合に限り、上限が800万円まで引き上げられました。
(引用:国土交通省「土地の譲渡に係る税制」)
ちょっと分かりづらいので ↓↓
ケース:350万円で古屋が建っていた建物を売却
【売却のための経費】
■取得費:17.5万(契約書もない古い建物だったので譲渡価格の5%)
■解体費用:200万
■仲介手数料:33万(低廉な空き家の媒介報酬)
■境界確定測量:32万
合計282.5万
普通に売却した場合
350万(売ったお金)-282.5万(経費)=67.5万(譲渡益)×20%(税率)=13.5万(税金)
つまり 350万-282.5万-13.5万=54万が手元に残る
特別控除を利用した場合
350万(売ったお金)-282.5万(経費)=67.5万(譲渡益)×20%(税率)=13.5万(税金)
※67.5万の譲渡益(100万以内)は全額控除
350万(売ったお金)-282.5万(経費)=0万(譲渡益)×20%(税率)=0万(税金)
つまり 350万-282.5万=67.5万が手元に残る
まとめ
いかがでしたか?税金の負担額が全然違いますよね。
この制度で土地・建物の流通を促して、地域を活性化させようという狙いで始められた制度です。
・郊外に何もしていない土地がある人
・売ってもいくらにもならないだろうと諦めている人
・何かする予定もないのに、草取りなんかで管理が大変な人
・相続した土地の処分に困っている人 etc…
これらが当てはまる方は、この「低未利用地の特別控除」を利用して、不動産の売却を検討してみませんか?
注:この内容は、税額や税制を保証するものではありません。詳しくは国土交通省、税務署、税理士へご相談ください。
「低未利用地の特別控除」(出典:国土交通省)
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