集合住宅は、戸建住宅と違い、ひとつの建物に複数の世帯が暮らします。
当然、気をつけなければいけないことが色々出てきますね。
さらに「分譲マンション」の場合は、ひとつの建物を「複数の所有者で管理する」難しさがあります。
分譲マンションを所有・利用する上で、法律や、所有者間の管理上の権利と義務を理解しておかないと「こんなはずじゃなった・・・」
思わぬトラブルが起こるかもしれません。
管理会社は、なんでも屋さん!?
マンションの管理の主体は組合員=区分所有者によって構成される「管理組合」です。
「なんとなく、戸建は近所付き合いも大変そうだし、マンションの方がいいや・・」
で購入して終わりじゃないんです。
とはいっても、管理員を雇ったり、清掃や点検をしたり、管理費等を徴収したり、共用部分の光熱費を支払ったりといった管理業務を、所有者で構成される管理組合でやるのは大変ですよね・・・。
そこで、ほとんどの管理組合では、管理業務の一部を「管理会社」に委託しています。
管理会社は、管理に関することを何でもやってくれるわけではなく、契約により委託された範囲の業務を行います。
委託業務の範囲として、一般的には
・収支予算や決算案の作成
・管理費等の出納
・マンションの維持、修繕に関する企画
・理事会や総会の支援業務
・管理員業務
・清掃や建物
・設備の点検業務 etcがあります。
いろんな業務がありますね・・・。
なお、管理組合の管理事務を受託する管理会社は、国土交通省の登録を受けていなければいけません。
トラブルは管理会社・・・は間違い
管理組合が行う業務の一部を管理会社に委託したとします。
管理組合が行う業務でない事項は、管理会社にも委託できませんし、委託されていないことは管理会社もしません。
賃貸住宅でも良くあるのが「管理会社だから、なんでもしてくれるでしょ!?」・・・そんなことはありません。
居住者の個人的な頼み事は、特別な契約が無い限り管理会社では対応してくれません。
良く問題になるのは、お隣や上下階間での騒音トラブルなどです。
これは、あくまで当事者間の問題ですので、管理組合は一般的・抽象的な注意の呼びかけはしても、両者の間に入って仲裁等の関与はしないのが一般的ですし、管理会社も同じです。
ただし、管理規約等に反する行為や周りの皆が迷惑になるような行為であれば、管理組合も対応することになります。
※賃貸借契約の場合では、民法601条に『賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。』とあり、賃貸人は賃借人に対し「使用及び収益させること」を約しているため、他の入居者からの騒音により「使用および収益」できない状態になっているならば、オーナーは債務不履行になるという考え方があります。
賃貸借と所有権を持つ分譲マンションでは、権利のあり方、解釈も変わってくるため注意が必要ですね。
また、管理組合が行う業務を管理会社に委託していないマンションもあり、通称「自主管理マンション」といいます。
管理会社に委託しない業務は、管理組合自ら行うか、業務ごとに専門業者に外注することになります。
管理組合の負担は大きくなりますが、管理費が抑えられます。
業務経験が十分ある管理会社であれば、管理組合がいつ何をしなければいけないかなど、アドバイスやサポートをしてくれます。
だからといって、管理会社に任せきりにするのは問題ですし、そもそも管理会社が適切に業務を行っているかをチェックするのは、委託者としての管理組合の役割です。
購入して終わりでなく、マンション管理の主体は、あくまで「管理組合」です。
区分所有者は、管理組合の一員として、しっかりと管理運営に関わることが必要なんですね。
この記事へのコメントはありません。