2022年10月、大手損害保険会社で火災保険料率が改定される見込みです。
2019年10月、2021年1月に続いて、最近では3回目の改定です。
今回、どうして火災保険料率が上がるのでしょうか!?
過去最大の引き上げに!?
火災保険料率の改定は、損保会社が料率を決める時の参考にする ⇒「参考純率」の改定から起こります。
(出典:火災保険料率算出機構「火災保険参考純率」)
契約・支払いに関する大量のデータを基に、この参考純率は改定されます。
風水害が頻発したり、老朽化した住宅が増えていることで、損保会社が支払う保険金が増えたりすると、この参考純率が上がってしまうわけですね。
参考純率は、⇒「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づく料率算出団体である、「損害保険料率算出機構」が算出し金融庁に届け出ます。
そして、参考純率が「保険料率の3つの原則」に適合していることについて審査を受けます。
これを適合性審査といいます。
(参考純率及び基準料率の原則)第八条 料率団体の算出する参考純率及び基準料率は、合理的かつ妥当なものでなければならず、また、不当に差別的なものであつてはならない。
e-GOV 法令検索
保険会社は、自社の保険料率を算出する時のベースに、参考純率を使用することができます。
付加保険料率部分(経費等)は、保険会社がそれぞれの会社で算出します。
近年は改定続きで、2018年が+5.5%、2019年が+4.9%、2021年6月は過去最大の+10.9%の引き上げ率となりました。
ただし、全国平均の数値ですから、都道府県や建物構造によって改定率は違いますし、引き下げとなる場合もあります。
みなさんが実際に負担する保険料は、参考純率をもとに各社で決められますが、この保険料がこれから上がると見られています。
契約期間が短くなる!?
今回の改定では更に、今までは最長10年で契約できた火災保険期間が、5年に短縮されます。
つまり、これまでの長期契約の割引も縮小します。
保険料率の改定が続く中で、この10年の火災保険収支は赤字の状況が続いているそうです。
巨大災害に備える ⇒「異常危険準備金」の積立残高が無くなって来ていて、損保会社にとって厳しい状況のようです。
(出典:MS&ADホールディングス「異常危険準備金」)
こうした状況は、いつかは落ち着くのでしょうか?・・・見通しは厳しいです。
昨今、毎年のように水害が全国各地で起こっており、また日本に関しては大地震(南海トラフや関東首都直下地震)の発生も囁かれています。
大きな地震がいつどこで来るかは分かりませんが、日本だけでなく、温暖化の影響と見られる風水害や火災は世界中で起きています。
気候変動の状態と、それが経済社会にどんな影響を与えるか、明確な科学的見解を提供する ⇒「国際政府間パネル(ICPP)」が
⇒「気候変動は拡大し、加速し、深刻化している」と発信しました。
(出典:国際連合広報センター「2021年8月9日付 IPCC プレスリリース・日本語訳」)
将来の負担増は、避けられないのかもしれませんね・・・。
火災保険は、ライフプランでの総支払額でも、長期で見ると小さくありません。
それがこの度、値上がりするとなれば尚更です。
私が不動産の仕事をしていると、どうしても
購入資金 ⇒ 返済額 ⇒ 家計の見直し ⇒ 生命保険等 ⇒ 火災保険・・・
起こるか分からない、災害に備える火災保険の優先順位が低い方が多いです。
でも考えてみてください。
なんだかんだ、月払いでも年払いでも、結局、火災保険には入りますよね?
不動産(持ち家でも、賃貸でも)に購入や賃貸で生活している限りは、火災保険料は払っているわけです。
今回の改定だけでなく、世界的な異常気象が続くことを考えると、どんどん保険料率が上がることが考えられます。
長期の資金計画のライフプランの中では、住宅ローンの返済や、教育費や、生活費など、いろんな項目があります。
その中で「火災保険」という項目も、その補償内容と保険料を把握して、他の支出と同じように組み込んで考えることが大切ですね。
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