土地や中古住宅、中古マンションを購入する時、またはアパートを借りる時に、その物件がどのような使われ方をしてきたか気になりますよね。
実は、不動産の取引は、「人のシ」に関する事項は、業者側の方での調査や告知の基準は無かったんです。
それが、2021年10月、国土交通省から「宅地建物取引業者による人のシの告知に関するガイドライン」が公表され、宅建業者が宅建業法上負うべき義務の判断基準ができました。
心理的瑕疵って、何!?
いわゆる「心理的瑕疵」がある物件は、売買代金や家賃が安いケースが多いです。
でも、今までは、取引をする物件で起こった「人のシ」に関して、業者側の調査や告知の判断の基準がはっきりしていなかったんですね。
ある意味、不動産会社任せ、取引任せの状態だったわけです。
そうなると、例えば単身の高齢者がアパートを借りたい・・・
となっても、賃貸人や管理会社に敬遠されるようなことが起こってしまいますよね。
そこで、国土交通省が、2021年10月8日、今までに「人のシ」があった物件の取引で、宅地建物取引業者が取るべき対応の解釈 ⇒「宅地建物取引業者による人のシの告知に関するガイドライン」を公表しました。
(出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人のシの告知に関するガイドライン」)
不動産会社は、どこまで調査してくれるの!?
そもそも宅地建物取引の法律「宅地建物取引業法」には、「人のシ」に関することの調査義務は、明文化されていません。
つまり、物件に人のシを疑わせる特別な何かが無ければ、宅地建物取引業者は、積極的・自発的に人のシに関することの調査をする義務はないんですね。
それでは、今回のガイドラインで「調査義務」という考え方では、どうなったのでしょうか?
例えば売買で仲介をする宅地建物取引業者は、「告知書」等で、売主と買主に対して、その物件で今まで起こったことの記載をしてもらえば、仲介業者としての調査義務を果たしたと判断されて、調査義務違反にはならないと整理されました。
もちろん、仲介をして売買を成立させるのに、通常の情報収集を行うべき業務上の一般的な義務はあります。
知ってたけど・・・言わなければいいか・・・!?
人のシに関することも含む、いわゆる心理的瑕疵の問題。
これは本来、売主と買主、貸主と借主の間の問題です。
ここで注意しなければいけないのは「知ってたけど、黙ってればいいか・・・」なんて考えて、知りながら告げないと大変なリスクを背負う可能性があるんです。
告知書を不動産会社に求められて、買主や借主の手元にいくことが分かっていながら、人のシに関することを故意に記載しない・・・
その場合、「知りながら告げなかった」契約不適合に該当して、契約不適合責任の免責が無効になったり、契約上の情報提供義務に違反することになって損害賠償責任を求められる可能性があるんです。
ほとんどの方が、何度も経験するものではない不動産の取引。
売る側も買う側も、トラブルなく納得して取引したいですよね。
「人のシ」に関することで、どのくらい「住み心地の良さを欠く」かは、人によって様々です。
今回のガイドラインで割り切ることができない、個別に特殊なケースも出てくるでしょう。
売る側・貸す側は知っていること、知らないことを、しっかりと告知する・・・
買う側・借りるは、気になることがあれば、人のシに関することだけでなく、仲介業者や、売主や貸主に相談して伝える・・・
そういったことが、未然のトラブル防止につながりますね。
この記事へのコメントはありません。